自動思考を取り扱うことでネガティブな考えから距離を取る方法

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この記事で解決できる悩み

  1. 自動思考とはそもそも何か?
  2. 自動思考はどう取り扱えばいいのか?
  3. 自動思考への具体的な対処策は?

頭に次から次へと浮かんでくる思考。

ポジティブな内容ですと気持ちもうれしくなりますが、ネガティブな内容ばかりが浮かんでくるときは気持ちは次第に不快感を覚えます。

不快感は可能な限り感じたくないものですよね。

そもそも意図せず浮かんでくる思考とはどういったものなのでしょうか。

思考自体は止めれるのでしょうか。また、どのように取り扱えるものなのでしょうか。

結論、思考自体を止めることはできませんが、取り扱っていくことはできます。その方法についてご紹介します。

頭に考えやイメージが浮かんでくる自動思考

自動思考と認知

その人自身が対象を意識した上での受け止め方や物事の捉え方について、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程を認知といいます。

認知の過程では瞬間的に頭に考えやイメージが浮かびます。

これを自動思考といいます。自動思考はコントロールできるものではなく知らず知らずのうちに頭に浮かんできます。

特に思考のモードがネガティブな自動思考になるときには考え方が悪い方向に動きます。

例えば、朝会社に出社し同僚にあいさつをしたのに返ってこなかったとします。

ネガティブな自動思考では、相手が気に障る何かをしたのかなと悲観的になり、一方でポジティブな自動思考では、あいさつの声が聞こえなかったのねと楽観的に捉え、まったく違った受け取り方になります。

自動思考は人それぞれの認知に影響があり、認知の違いこそが気持ちの動きや行動の違いとして現れてきます。

認知行動療法

人それぞれに受け取り方が違う認知ですが、認知に働きかけながらストレスやこころの問題を軽減していく治療法を認知行動療法といいます。

認知行動療法では、ストレスとなった出来事や状況から生まれているそのときの自動思考を特定し、浮かんできた自動思考に囚われない別の考え方や行動に移せるよう導いていきます。

思考には考えの層が3つある

思考は意識下にある中核信念・スキーマ条件信念(思い込み)と、意識上にある自動思考の3つの層で成り立っています。

これらによりその人自身の認知は決まります。

中核信念・スキーマ

幼児期の体験により形成された考え。自分自身に根付き固まってしまっている。根底にあるために気づけないことが多い。

疑いの余地がなくその通りであると受け取られている。

条件信念(思い込み)

態度、構え、ルール、思い込み、予期の類いのもの。中核信念・スキーマの影響を受ける中間層の信念。成長の過程で築かれてきた信念。

「もし〜なら、〜である」「〜べき」「〜ねばならない」

自動思考

背景にある信念から自動的に生まれ出る考え方。特定の場面で浮かぶ。

「どうせ無駄」「またこれか」

認知の歪みは人それぞれ

同じ出来事に遭遇したとしても、人それぞれ考え方や捉え方は違います。

ときには極端に偏った考え方や捉え方をしてしまい、ネガティブな思考や感情を強化させるものでもあります。

認知の歪みとは誇張されている考えが発生している思考であり、10パターンがあるとされています。

白黒思考

オール・オア・ナッシング、0か100か、正解か不正解かのように、2つの解しかありません。

完璧なものではないと、意味自体がないと考えてしまいます。

仕事のプレゼンを終えたが、うまく説明ができない部分があり、相手を困惑させる部分があった。結果、失敗と終わってしまった。

過度な一般化

すべて思考。一度起きた悪いことを根拠が不十分のまま一般的な法則だと思い込みます。

たった一回の悪いことでどんな状況でもすべてが悪い局面にしかならないと考えます。

あいさつをしたが返してくれなかった。悲しい。あの人は私を嫌いに違いない。

フィルタリング

良いことを無視し、悪いことばかりに目がいってしまいます。

国語の模試を受けたが自己採点では100問中20問も間違ってしまっている。これでは志望の大学に受かるはずもない。

マイナス思考

「どうせ〜に決まっている」と、良い部分も良いことだと捉えれず、悪いことに置き換わってしまいます。

考えの価値を下げてしまいます。

自分はどんなに素敵な洋服を着て着飾ったところで人からはきれいだと思われない。

論理の飛躍

深読み思考。先読み思考。論理的に起こりうるケースを自分勝手に想定し、特に根拠がなく「相手はこう思っているはずだ」と決めつけます。

仕事で以前と全く同じミスをしてしまった。そんな私を上司はバカだと思ったに違いない。

過剰な拡大・過小解釈

悪いことはより悪く受け止め、良いことは実際よりも悪く受け止めます。

今回のプレゼンは自分ががんばったからではなく、誰でもうまくやろうと思えばできるものだ。

感情的決めつけ

感情的思考。自分の感情だけを根拠に、ダメなものはダメだと自分の考えだけで考えます。

あの人と話すとき私はいつも悲しい気持ちになる。あの人は私を嫌っていて私を傷つけようとしている。

すべき思考

べき思考。ケースに基づかず、自分の道徳観で「〜すべき」「絶対に〜してはいけない」と考え、自分で自分を縛り付けます。

私はこの道のプロなので、すべての過程を完璧に進行し終えなければならない。

レッテル貼り

一面思考。過度な一般化が極端な状態となります。

たった一度起きたことや一部の性質によって、自分や他人にネガティブなレッテルを貼ってしまいます。

この職場環境は殺伐としている。みな意地悪で、こころに血が通ったような人が誰一人いない。

誤った自己責任化

自責思考。起こったことは何でも自分に責任があると考えます。

上司が最近いらいらしているのは、私の仕事の進め方が気に入らないからだ。

こころの世界の4点セット

認知行動療法では、ストレスを感じた具体的な出来事や状況を取り上げ、それが起きたときに浮かんだ考え(認知)感じた気持ち(感情・気分)振る舞い(行動)身体の反応(身体)の4つの側面に注目します。

考え(認知)

現実の出来事に対して自動的に頭に浮かんでくるこころの声。

ストレス時には悲観的で非現実的なものになりやすい。自分、周囲、将来が対象で極端に誇張されている。

感情・気分

考えに反応して出てくるこころのアラーム。 ストレス時には落ち込む気分が出てくる。

否定的、悲観的な考え。悲しい、絶望、不安、イライラ

行動

考えや気持ちからくる行動のアラーム。

ストレス時には何も楽しそうに思えなくなり、行動範囲が狭くなる。人間関係を避けたりする。

行動が減れば更に気分が沈み、悪循環に陥る。

身体反応

考えや気持ちからくる身体のアラーム。

ストレスが身体の不調となり、ストレスが身体の不調となる。

疲労、頭痛、腰痛、不眠、食欲不振。

セルフモニタリング

考え感情・気分行動身体反応は相互に関係し合います。 このこころの世界の状態を4つの側面に分けて記録する手法をセルフモニタリングといいます。

セルフモニタリングは認知行動療法の基本的な技法ですが、効果的な技法です。

自分の考え方や行動のパターンを理解し、問題となっている部分を特定できます。

それにより自分の考え方や行動の改善し、気分や身体反応を楽な状態にしていけます。

自己のパターンや反応を客観的に観察していくことで、問題解決や自己理解を深めるために非常に役立つ手法であるとも言えます。

セルフモニタリングの実例

出来事・状況、考え、感情・気分、行動、身体反応を書き出します。

出来事・状況「出社時、同僚にあいさつをしたが返ってこなかった

考え「何か気に障ることをしたのかな」

感情・気分「悲しい、ドキドキ」

行動「同僚から目をそらす」

身体反応「身体が緊張している」

書き出した内容を踏まえて、今どう思うか?

自分のニーズは?その実現可能性は?それを少しでも上げるにはどんな行動したらいいのか?

自動思考を取り扱ってみる方法

ネガティブな自動思考を止めれるのできるのでしょうか。

残念ながら止めることはできません。ですが、ネガティブな自動思考を察知できたとき、影響力を弱めれます。

それは一歩下がって自分自信の考えに注意を払うことです。その方法をご紹介します。

マインドフルネス①

マインドフルネスとは、今この瞬間に意識を向け、意識に対して評価や判断をせずにただ自分のこころを観察します。

こころを観察するために、私たちが常に行っている身体的なプロセスである呼吸は重要な要素です。

呼吸を通じて自分の体やこころの状態により意識を向け、今この瞬間に集中し受容的な態度を育ます。

手順

  1. 背筋を軽く伸ばし、座ったり、横になったり、楽な姿勢をとります。
  2. 優しく目を閉じて視界からの情報を減らします。
  3. 鼻からゆっくりとお腹の底まで息を吸い込みます。
  4. ゆっくりと一滴残らず口から息を吐き切ります。
  5. ③④の深呼吸をもう一度行います。
  6. 自然の呼吸に戻して、一番呼吸を感じやすいところを一点決めます。
  7. その場所に意識を集中させ、呼吸が自然に流れていくのを感じます。
  8. 吸う息と吐く息の間に気づき、呼吸にもリズムがあることを感じます。
  9. 呼吸に意識を向けていてもこころはいろいろなところに彷徨うことに気づきます。思考や感情がただ現象として生じていることに気づきます。
  10. こころが呼吸から離れたらそれになるべく早く気づき、良し悪しの判断をせずに穏やかに優しく呼吸の感覚に戻ります。
  11. 何度でもこころを今ここに連れ戻し、呼吸の感覚への観察に戻ります。
  12. 5〜10分程度続けます。
  13. 最後に③④の深呼吸を行います。
  14. 今自分がいる空間に意識を戻しゆっくりと目を開けます。

マインドフルネス②

マインドフルネスでは、五感を使って身体反応や行動に気づきを向けながら、反応に対して評価や判断をせずそのまま受け止めます。

視覚

光の刺激を受けて生じる感覚。 何が視界に入ってくるのか、頭の中で実況を中継します。

聴覚

音の強さ、音高、音色、音源の方向、リズム、言語などを認識する能力。風の音、木々が揺れる音、雑踏の音、耳に入ってくる音に耳を澄ませます。

嗅覚

匂いを感じ取る感覚。空気の匂い、コーヒーの香り、湯気から漂う香りに匂いを感じます。

味覚

食する物質に応じて認識される感覚。口にしているものの食感や味を感じます。

触覚

生体の表面に加えられた触刺激によっておこる感覚。ふわふわ、もふもふ、さらさら、すべすべ、ほかほか、ひんやりするものを手のひらでなでます。

タイムラインメソッド

Twitterのタイムライン上に流れては消えていくTweetを見ているかのように、頭に流れてくる思考を取り扱います。

自分にとって有益であるTweetは同意し、無益であるTweetは読み飛ばすのと同様に、思考の内容もそのとき感じただけのただの文字列であり、それ自体が真実であるかどうかはわからないものです。

ただただ頭に流れ行くTweet(思考)を客観的に観察します。

葉っぱに乗せて川に流す。雲に漂わせる

頭に流れてくる自動思考を葉っぱに乗せて川に流したり、流れ行く雲に乗せて流していくイメージをしたり、ただただ頭に浮かんでくる思考を客観的に観察します。

うんこのワーク

自動思考をうんことみなし、用を足したあとにボタンを押してトイレに流します。

今回のうんこは大きかったな、小さかったなと自動思考の大小を感じながら流します。

言葉の力を無力化させる

頭に浮かんだ言葉に対して従う、一方で従わないことも自分自信で選べます。

浮かんできた言葉は絶対的なものではなく、自分に取り入れるのか入れないのかを自分自身で決めれるものなのです。

ぽよエクササイズ

私はできない」→「私はできないぽよ」というように、言葉の語尾に「ぽよ」とつけ足します。

ぽよ」とつけることで断定している言葉の表現がそうでなくなるように感じます。

自動思考への具体的な対処策

ポジティブな思い込みとネガティブな思い込み

同じ状況下でもネガティブな気持ちを持っているときとポジティブな気持ちを持っているときでは、結果として自動思考は全く違ったものになり、最終的に湧いてくる感情も全く違ったものになります。

しかしどちらにも思い込みが発生しているのは事実です。

ポジティブ感情が良いわけではなく、ネガティブ感情もポジティブ感情もどちらも程よく必要なものなのです。

同じ友達に料理を振る舞ったときの状況下でも、ネガティブな感情とポジティブな感情の違いを紹介しましょう。

ネガティブな感情の場合

私が作った食事を来客者は一生懸命に食べている。あまりおいしくなくて無理して食べているんだ。早く食べ終わりたいんだな。もう二度と食事を振る舞ったりしない。

背景にある事実:「料理がおいしすぎて一生懸命に食べていた」

ポジティブな感情の場合

私が作った食事を来客者は楽しそうに会話をしながら料理を食べている。おいしいと思ってくれてるんだな。良い時間を提供できてよかった。

背景にある事実:「料理が口に合わず会話を楽しむしかなかった」

思い込みを発見することが大事

このように、背景にある事実と自分の思い込みにギャップが生まれていることがあります。

ネガティブな感情、ポジティブな感情を持ち合わせていても、背景にある事実との違いがあるということです。

事前の思い込みの発見が大事になってきます。

ネガティブな自動思考に反論してバランスを取ろう

ネガティブな自動思考を無くすのではなく、ネガティブな思考とポジティブな思考とでバランスを取りましょう。

目指したいのは、心配をちょうど良い程度に留めておき、極端なネガティブな考えを軽くすることです。

ネガティブな考えにこころが支配されるのではなく、ポジティブな考えもこころに浮かぶ。考えのパターンに健康なバランスを保ちます。

バランスを取るアプローチ方法は2つ

バランスの取り方には理屈系のアプローチ行動型のアプローチの2つがあります。 どちらも実験的な態度で臨んでみましょう。

理屈系のアプローチ

  • そうであると考える、一方でそうでないと考えることに根拠はありますか?両方合わせて考えてみるとどうなりますか?
  • 別の見方はありませんか?あなたが信頼する人なら今のあなたの状態を見て何と言うでしょうか?
  • もしあなたの一番の友人に同じことが起きていたら、何とアドバイスをしてあげますか?
  • 気になった相手と身体を入れ替えてみると何が見えてきそうですか?
根拠を確認

上司が朝から機嫌が悪い。業務で私が昨日発言した内容が腑に落ちていないのかもしれない。 そういえば買ったばかりの腕時計を無くしてしまったと言っていた。 高価なものだろうし、だから今日は機嫌が悪いのかもしれない。

別の見方はないか

プレゼン時、上司は内容に関心を持っていないようであった。上司の電話が鳴り、プレゼンは急遽そのまま終わってしまった。 準備万端だったのでこれで大丈夫だと思ってしまった自分が間違っていたのだ。一生懸命がんばって作った資料なのに、その態度は流石にないよね。にしても、プレゼン中なのに上司は上の空だった。電話を待っていたかもしれない。顔色も悪い気がしたし、何か事情あったのかな。

行動型のアプローチ

  • 自動思考は一旦置き、今は何をするのが良いのでしょうか?意識的に現実的な話題に目を向けてみましょう。
  • 別の場所に移動し、目に映るものを変えてみると気持ちに変化がありませんか?
  • まるで他人の考えであるかのようにイメージしてみると何が見えてきますか?
今やれることをやってみる

社内主催のセミナーで席が隣りになった人と会話をした。お互いが今携わっている会社のプロジェクトについて紹介し合った。翌日、会社のロビーで彼と同僚が話しをしながら歩いていた。会釈をしたが留められず通り過ぎていった。しばらくしてから、今度は会社の食堂で彼を見かけたので思い切って「おつかれさまです」とあいさつをすると、「あっ、おつかれさまです。この間はありがとうございました。プロジェクトの進み具合はいかがですか?」と言われた。先日ロビーで会ったことには気づいていなかったようだった。無視されたと思ったが、思い切ってあいさつをしてみてよかった。

話題を変えてみる
「別の場所に移動」法

提示した見積り金額が安かったとクライアントは喜んでいたが、よくよく確認すると桁数が間違っていた項目があった。実際の金額は高くなってしまう。どう説明しようかとデスクでつらい気持ちになっていた。会社のそばにベンチがあるのを思い出し、そこで引き続き考えてみることにした。不安な気持ちから少し離れれた。

「ポジティブな事柄を書いたリストを持参」法

自分が達成したこと、いいこと日記、自分を励ます言葉、自分がすきなもの(推し)、心地が良いと感じるものを持ち歩き、ネガティブな考えが浮かんだときに見てみる。

「誰かと連絡を取る」法

ネガティブな考えが浮かんだときにはLINE、電話、テレビ電話、直接会う、手紙を通じてその内容を伝えてみる。

自動思考で浮かんだことを何度も思い返さない

仕事でミスをしてしまった場合、次から次へとネガティブな思考が浮かんできます。

自動思考で浮かんだことは事実であるので、反論や対処をする気持ちになるのは難しいと思います。

ですが事実だからといって、何度も思い返す必要はないのです。

その場合はそれらを繰り返し考えることに意味があるのかどうかを考えると良いでしょう。

だから何なの法

仕事でミスをしたこれで自分の無能ぶりが証明されたもとから何か起きそうだと思っていたもう二度と仕事を任せらることはないだろう。」

だからといって何が問題なのだろう?、何を心配しているのだろう?と自問自答し、もう一段階深いレベルにある本当の心配をあぶり出してみる。

考えることに意味があるのか法

「今それを考えることに意味があるのだろうか」

ミスをしたのは事実だが、それを考えること自体に意味があるのかを考えてみる。

ではどうするのか法

「仕事でミスをした。その事実は変わらない」

事実は事実として、次に何ができるのか、何に繋げていけるのかを考えてみる。

自動思考をただ受け止めてみる

ネガティブな自動思考に飲まれているときのそもそもの身体や脳は冷静な状態ではないでしょう。

自動思考は主観的あり、一面的でしか物事を捉えれません。

ただ受け止めるだけでもこころの変化はあります。

こころに変化が生じ何かしらの行動に移ることで、更にこころや現実の変化が生じる可能性があります。

まとめ:自動思考から距離を取ってみる

自動思考は誰しもに浮かんでくる考えであり、人それぞれにクセのパターンがあります。

自動思考は止めたり、コントロールすることはできませんが、距離を取ってみる手法があります。

距離を起きつつ新しい情報を取り込むことが、次に取る行動に影響を与えていきます。

それにより思い込みから開放される機会が生まれ、気持ちが落ち着くこともあるでしょう。

ネガティブな内容の考えばかりが頭に浮かんでくるときは、自分の自動思考から離れてみることをぜひ一度やってみてくださいね。

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